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去年のお話ですが(長文注意)2011-01-08 Sat 01:43
来年の話をすると鬼が笑うと申しますが、去年の話をしたらどうするんだろう。
そういう話はともかく、なかなか書く機会にめぐまれず、なんとか書いてみましたがこんなダラダラとした長文になてしまったので、お暇な方だけお読みください。 去年の12月26日に、新宿ピットインで行われた“渋谷 毅 Produce 「こんな風に過ぎて行くのなら」 〜浅川マキに捧ぐ三日間〜”の1日目に行ってきました。 タイトル通り、去年の1月に亡くなった浅川マキを追悼する企画。 会場は立錐の余地もないぐらいの大入満員。とある知人の方が非常にナイスな席を取ってくれたので良かったが、立ち見の人大変だったろうなあ。 ![]() 写真は丁度自分の横にあったマキさんの在りし日の姿。その横にいらっしゃる人が、当日の客層を如実に物語っています。要するにかなりのツワモノぞろい、ということでしょうか(笑) 以下、出演順に感想のようなものを書いていきます。 ・渋谷毅+金子マリ+坂田明 予定より10分遅い19時40分に、渋谷さんがステージに登場。簡単に今回のライブの趣旨を話したあと、金子マリを呼び出す。金子さんは浅川マキが亡くなる数日前に長電話した話を披露。「マヘリア・ジャクソンの新譜いいから聴きなさい」が最後のメッセージになったそうです。 その後、渋谷さんの伴奏で数曲を歌う。最初は調子が悪いのかな?と思ったが、だんだん調子が上がってきて、最後の曲ではまるでゴスペルの如き凛とした歌唱。非常に崇高なものを聴いたような気分になりました。 しかし最後の曲のみ参加した坂田さんのサックスは、実にロマンチックでよかったなあ。 ここで渋谷さん・金子さんが退場。黒田京子(P)・水谷浩章(B)が入ってきて次のセットがスタート。 ・坂田明トリオ 先ほどとはうって変わり、サックスをいぢめ抜くような「坂田節」が炸裂。数曲では浪曲師のごとき渋い歌も披露。 それが「ドシャメシャ」で終わらないのは、黒田・水谷の二人がいてこそ、と思った。 まるで現代音楽のような響きを湛えた黒田のピアノ、常に地に足がついた骨太な水谷のベース。 この3人がものすごい集中度でもって奏でる音は、たしかにフリージャズの範疇なのだが、決して息苦しくならない、確実に耳を惹きつけるものがある。 しかし曲間では坂田の落語家の如きおとぼけMCのおかげで爆笑の渦。 一度このフォーマットのライブを聴きに行きたいです。 ・渋谷 毅・小川美潮・大川俊司・セシル・モンロー 小川さん・大川さんは、渋谷さんが作曲した子供用の曲を演奏する「しぶやさんといっしょ」でもほぼレギュラーで出演している方々。そこに、渋谷さんと共に浅川マキ最後のライブの共演者となったドラムのセシル・モンローが加わる。 他の方々は浅川マキの曲をカバーしたりしたが、小川さんはあえて全て自分の曲だけで固めた。多分それが、小川美潮としての浅川マキへの回答だったのだろう。 実際、今日の演奏は自分がかつて聴いた中で、最も自由な小川美潮の世界があった。きっとあの人も上から「そう、それでいいじゃない」と言うに違いない。 ・長谷川きよし(一曲だけ坂田明) 名前はチラチラ聞いていたがちゃんと聴くのは今回が初めて。デビュー時に「銀巴里」という場所に出演している際に、浅川マキから声をかけられたのが初めての出会いだったとか。 最初の曲だけ坂田明が加わったが、この人の場合に関しては一人によるギター弾き語りがとてつもなく良い。 お気の毒ながら早くから目が見えない境遇にあった方ということだが、多分音だけを聞いていると多分誰も信じれないだろう。別々に演奏しているとしか思えない卓越したギターと歌。しかもどちらも音に深みがある。 基本的にシャンソン・サンバを基調とした曲が多かったが、正直そういう上っ面はどうでもよくて、音楽から滲み出る「そういうふうにしか生きていけない人間の業」のようなものを感じました。多分一人だけでここまで思わせるミュージシャンってまずいないんじゃないでしょうか。30分ほどでしたが、凄いものを聴かせてもらいました。 ここで少し長めのインターバルを取って舞台準備。金子マリとそのバンドが満を持して出てくる。 ・金子マリ(Vo)5th Element Will【北京一(Vo,G)大西 真(B)石井為人(Key)松本照夫(Ds)岩田浩史(G)森園勝敏(G)】 ここから、ジャズのためのハコにロックの音が響き渡る。しかしその音は決して浮ついていない。様々な経験を経てしっかり地に足のついた音、とでも言いましょうか。 そして金子も、渋谷さんと共演していた時とはうって変わり、すっかりロックの神が憑依している。あきらかにさっきより5度ぐらい高い声でシャウトしまくる。年齢とか関係なくかっこいい!やっぱこの人はロックの人なのだなあ、と再認識した瞬間。 そして最後には、浅川マキ・金子マリ両人の持ち歌である「それはスポットライトではない」が歌われる。 最初のセット同様のゴスペル的な歌声が、ロックバンドの力強いバッキングを伴ってハコに響き渡る。 ・アンコール 本来はここでおしまいだったと思われるが、アンコールの声が鳴り止まない。 ここで出てきたのが、渋谷さんと坂田さん。明らかに挙動がおかしい。もう出来上がっているようだ(笑)。 ろれつの回らぬ口上からすると、大昔に美空ひばりが歌った「上海」という曲をやるようだ。 あきらかにグダグダな渋谷さんのピアノ。坂田さんも酔っぱらい風情でがなる。 でもこれがとても良かったんですな。なんでだろう。あの脱力具合がものすごくブルースだったのかもしれない。 といった感じでライブはお開きに。 今回のライブは、何らかの形で彼女と関わりのあった人たちを集めたらこんな人数になってしまった(多分全員集めたらこんなんじゃ済まない)といった感じではありますが、プロデュースといいつつ基本的に各ミュージシャンに任せた渋谷さんのやり方はある意味正解かも。だってこんなにジャンルもスタイルもバラバラなミュージシャンをプロデュースするなんて、そうそうできるもんではないもの。 ちなみにこの後二日間全然違うミュージシャンを集めてライブが行われており、こちらの内容も相当良かったとのこと。 自分が浅川マキという存在を知ったのは正直最近だし、ライブに初めて行ったのも2006年だからまだまだ彼女のことを語るには経験が浅すぎる。 しかし渋谷さんもこう言っておられる。 「浅川マキさんの存在は稀有というものでした。一人ひとりの中に「私のマキさん」がいる」 きっと自分のとっての「私のマキさん」は、これから音楽に携わっていく自分の永遠の課題なのかもしれないです。 |
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